火葬・2014.03.12

ポストカード
宮古・日立浜の猫たちの、ポストカードこちら

☆☆☆

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2014.03.12
いつまでも一緒に走っていたかった最後のドライヴ。

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火葬の受付を済ませ、奥に通されると亀がいた。
踏んでやろうかと思った。
ほんの一瞬、だけど本気で、踏みつぶしたいと思った。
踏みつぶす代わりに写真を撮った。
あれこれ用意をしているおじさんにも、隣のナオキにも、
かわいい~…と笑って言いながら、何度もシャッターを切った。

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もうそこにちわりはいないとわかっていた。
でも、ちわりが形見に残してくれた、ちわりそっくりにかわいい縫いぐるみを、
これから焼いてしまうのだと思った。
寝たきりでもいい、ただそばにいてくれればそれだけでいいと願ったのに、
その願いは叶わなかった。
今、せめて体だけでも残したい…そばにいてほしい…
それさえ叶わない。

「猫に満ちる日」という連作集の中で、主人公が「私の猫の棺」を探す。
彼女はたとえばホーローの箱、「眼球が溶けても流れ出さない箱」にこだわる。
それに対して登場人物の一人が「息が詰まってかわいそう」と言う。
わたしもそう思った。腐らない箱に閉じ込めたらかわいそうだと。
だけど、ちわりを残しておきたい。ほんとは焼きたくない。腐らせたくない。
この体をずっとずっとそばに置いておきたい。
冷凍する…科学的な方法を取る…
でも、やはり、それは良くないことだと、わたしにもわかっている…

おじさんが神妙な顔でスイッチを入れると、ラジカセからお経が流れて来た。
ちわりからの一言というのもあった。
たぶんプロのお仕事なのだろう、小学生の男の子くらいに聞こえる話し方で、
皆さんに優しくしてもらったとか、お空で見守っているのでお元気でとか、
そんな語りがBGMに乗って流れて来た。
こんな立派なセレモニーまでしてもらってぼくはしあわせです…だって。

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車の中で火葬すると初めから聞いていた。
出張サービスもあるらしい。
ゴミ回収会社と墓石屋さん…二者択一で墓石屋さんを選んだ。

小さな棺を納めて、少しだけ離れた場所で、ちわりは火葬された。

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雪が降っていた。
山羊が林檎の皮をせっせと食べていた。いくらでも食べる。
そして湯気を立てながら排尿し、ぽろぽろとあられもなく排便した。
踏みつぶしたいとはもう思わなかった。
でも、悲しかった。

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骨だけになって戻って来たちわりの、背中のあたりに緑色の塊があって、
おじさんが「これは便なので退けておきます」と言った。
生きていたら、時間が止まってしまわなかったら、
排出されて、また新たに作られて…でも、そこで止まってしまった。
全部停止してしまった。
それも入れてください…と言いそうになった。
だけど、退けても全部退けることは出来ないだろう。
きっと便もいくらかは入っている。
逆に、あの箒と塵取りでどんなに丁寧に集めても、
骨を、灰を、ほんとに全部集めることはきっと出来ない。

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ちわりには、18歳くらいの時から小さな角があった。
おでこに近い頭、ハチワレの分岐点あたりに、ポツッと硬いしこりが出来た。
お医者さんは、悪いものではないだろうと、
人間でも、ヘンなとこ、ポコッと出っ張っているってけっこうありますよ…
と言っていた。
ちわりの小さな頭蓋骨には、ちゃんとその通りに出っ張りがあった。

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ちわりのいない家に帰る。
洗濯して干しておいた強制給餌用のケープ、もう使うことはない。

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2014.03.19
毎日作っていた強制給餌用のムースごはん。
1/4食べてそのままになった。
片付けなくちゃ。捨てなくちゃ。何度も冷蔵庫から取り出して、
でも捨てられずそのまま戻した。

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今も。

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薬も、全部そのままになっている。
薬なんて残してあってもちわりが喜ぶはずないのに、
あの辛い、苦しくて怖かった、焦っていた日々でもいい、
それでもいいから戻りたい。そのまま続けたい。

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水の中にいるみたいだ…と思う。
ちゃんと食べて、片付けて、動いて、人と話し、笑ったり怒ったりもする。
でも、それはその時だけ水面に顔を出し、用事を済ませるようなもの…
もう陸に上がることはない。水の底に住む動物になった…と思ったりする。

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一度も使ってもらえなかった子猫用トイレ。
いつまでもそのまま、ずっとちわりを待っている。

落ち着いて来ましたとか、気持ちを切り替えてがんばっていますとか、
言えなくて残念です。
ごめんなさい…
でも、皆さんの猫たち、家族、パートナーの健康としあわせを、
羨ましいけど妬ましいけど、心から祈っています。

前記事の続きだから、すぐ書こうと思ったのに書けず、
長く間が空いてしまいました。
こんな楽しくない、そしてもうどうにもならない話を、
最後まで読んでくれてありがとう。

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by chiwari-yuki-y2 | 2014-07-16 14:34 | Trackback